2020/06/14 00:25

初めまして、SAPO代表のメグミです。


このブログでは、ホームページで紹介しきれない制作の様子や日々の思いを綴っていこうと思います。

初回投稿は、SAPOの誕生についてです。

少し長くなりますが、原点について記録しておきたいと思いました。最後までお付き合いいただけると嬉しいです。

SAPOはベトナムの世界遺産の街、ホイアン で2014年に誕生しました。
私は2009年からホイアン で暮らし始めました。2019年からは故郷である京都府北部に戻りましたので、
ちょうど10年間、ホイアンで生活をしました。

今(コロナ禍前まで)は観光で潤っているホイアン ですが、当時はまだ観光客も少なめで、
現地の人々の生活も素朴なものでした。
洗濯機、エアコンのない生活、移動手段も自転車のみという生活をするところから始めました。

ベトナム生活については、エピソードがたくさんあるので追々語らせていただきます。

まず、洗剤がやばい!


ベトナムに住んで数年後、手荒れがひどくなりました。
荒れるというものではなく、手のひら全体が赤く常にヒリヒリしていて、クリームを塗っても治りません。
日本でここまでひどくなったことはなかったので、原因をいろいろと探りました。

そして行き着いたのが、水と洗剤。

ベトナムで作られる合成洗剤はかなり洗浄力がきつく、さらにベトナムは硬水なので、洗剤が肌に残りやすいのです。
原因はこれだ!

しばらくは日本で調達した固形石けんを使い続けていましたが、そうこうしている間に妊娠が発覚!
2012年1月のことでした。

その1ヶ月後、パートナーが何やら皮膚がピリピリすると言い出します。
数日後、おしっこに行けなくなり、翌日の朝には歩行が困難に。

100万人に1人がかかると言われる免疫系の難病にかかったのです。
病気の詳細はまたの機会に。

英語すら通じない病院で2ヶ月間入院しましたが、ベトナムでは基本、患者の食事や身の回りの世話は
看護師ではなく、家族が面倒をみなければなりません。

正直、赤ちゃんのことを喜んでいる場合ではありませんでした。
治療法がなく、言葉が通じない病院での治療。ベトナム医療への不信感。
下半身が全く動かない(トイレにも行けない)ため、24時間介護が必要で睡眠もろくに取れませんでした。

その時に前向きに治療ができたのは、現地で出会った友人たちのサポートがあったからです。
毎日のように食事や飲み物を持って誰かしら病室まで来てくれ、様々な方からの支援と応援がありました。
日本人コミュニティ、ベトナム人、在住外国人、多くの人の応援と助けがあり、乗り越えられました。

この時思ったのです。

今日健康でも、明日何が起こるかわからない。


1日1日を大切に生きなければ。

主人はまだ後遺症はありますが、幸い日常生活に支障がないくらいまで回復しました。

妊婦生活は決して安静なものとは言えず、1週間に1度は洗濯をするためホイアン まで40kmバイクを走らせていました。

今思えば相当無理をしましたが、長男はお腹の中で元気に育ってくれ、無事に日本で出産することができました。そんな息子ももう8歳になります。

息子も、私と同じく肌が弱かったので、常夏のベトナムでは汗疹や湿疹に悩まされました。日本から大量に持っていった天然の石けんや洗剤も、一時帰国するまでの1年持ちません。


廃油石けんなら昔、地域活動で作っているところもあった。

自分で作れるんじゃないか!?と思い、まずは廃油石けんをつくりました。

幸いなことに、JICA青年海外協力隊の環境隊員の方が廃油石けんを現地で作る活動をされていた、というので、材料の調達先や作り方を聞いてつくってみました。


日本でも昔は小学校のPTA活動で教えていたというくらいなので、工程は意外と簡単です。早速、家中の家事全般に使いました。食器洗い、オムツ洗い(布オムツ使用)、おもちゃ、靴洗い、バイク洗浄(笑)、シンクや雑巾、手洗い。石けんは油でできているのに、油や汚れがスッキリ落ちます。さらに、天然の界面活性剤なので水に溶けやすく分解されやすいため、肌にも残りにくい。

そして、こんなに水仕事をしているのに手荒れがキレイさっぱり治ったのです!


この時の感動が、SAPOの原動力であり続けています。そしてやっぱり人生一度きり。たくさんの人に助けてもらった恩返しではないけれど、社会のために、世界のために何か役立てることをしたい、という思いがありました。

私にできることは、この感動を伝えること。そして、子どもたちのためにも安全なものを使い、健康に生きるには、人にとって本当の幸せとは何かいうことをずっと問い続けてきました。


廃油石けんは、今もキッチン&ランドリーソープとしてSAPOで販売しています。また、生分解性があり、地球にもお肌にもやさしい石けんとして、環境保護の活動に役立てたいと考え、現地ではワークショップや環境教育プログラムに活用しています。

さらに、ベトナム生活で身についたことがあります。

それは、「周りの資源を活用し、物を大切にする」という精神。

ベトナムでは、自転車、バイク、電気製品などが壊れても何度も修理して使います。手に入らないものがあれば他のもので代用し、何とか形にしてみせます。

先進国では何でもお店で買うのが当たり前ですが、少しでも調子が悪くなったり古くなると買い換える、売れ残りの廃棄物が増えていく。

そんな大量生産、大量消費の社会に疑問を持つようになりました。


以来、私自身にモノが必要になった時、それは「買わないといけないものか」「自分でつくれるのでは」

ということをまず考えます。どうしても必要なものが出てきた時は、「使い捨てやすぐに買い換えられるものより、長く使えるもの」「捨てるときに土に還るもの」という基準で選んでいます。最低限の消費にすることで、ゴミを最小限にし、周りにあるものを生かす考え方が身についてきます。

そして、シンプルな生活こそが、持続可能への一番近道なのではないかと考えています。


ベトナムの商品やSAPOの理念については、本サイトのAboutまたは下記ホームページをご一読ください。



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